【モルディブStory】第2話・一人旅② ~極上ハウスリーフと、穏やかな午後~

祐子・初めての海外ひとり旅

【登場人物】
★蒼井 祐子(50歳・看護師)
◎独身、一人暮らし
◎趣味:旅行、ヨガ、読書、ミュージカル観劇

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部屋に戻って少し休んだ後、胃もこなれてきたので、水着に着替えてスノーケリングをすることにした。
日焼けが気になるので、オーガニックの日焼け止めを塗ったうえに、ラッシュガードを着用した。
スノーケリングセットとライフジャケットは、昨日ダイビングセンターでレンタル済みなので、準備万端。

テラスで軽く準備運動をし、フィンをはいた足で階段を降りて、ゆっくりと海へ入る。しっかり身に着けたライフジャケットは頼りになる相棒だ。
部屋から少し泳いだだけの浅瀬なのに、生き生きとしたハウスリーフが目前に広がっていた。サンゴの一つ一つから強い生命力が放たれているみたいだ。
波に身を委ねてプカプカと浮きながら、しばしサンゴの美しさに見とれていると、色の綺麗な魚が何匹も横切って行った。何という名前の魚なんだろう、知識が乏しいのが悔やまれる。スノーケリングが終わったら調べてみよう。

単身スノーケリングなので、あまり岸から離れないよう気をつけながら、沖に向かって慎重に少しずつ泳ぎ進める。
それでも、ドロップオフまでは、拍子抜けするほどあっけなく辿り着いた。海面から顔を上げてみても、島からはそれほど離れていない。
再び水中の世界に戻ると、様々な種類のサンゴが群生しているもっと先の深いところに、濃い魚影がいくつも見えた。
ホント、すごいなぁ…。ミリヒはスノーケリングにおすすめと聞いてはいたけれど、魚の数も種類も、サンゴの元気さも、予想以上だった。

方向を変え、時計回りでドロップオフ沿いに進んでいく。
魚たちはサンゴに群れたり、追いかけっこしたり、海の中を悠々と泳いでいる。きっと私のことなんて、『何か大きくてヘンなのがいるな』ぐらいにしか思っていないんだろうね。ハイ、陸地から海中世界にお邪魔しております。

すっかり夢中になっていたら、ジェティの近くまで来たので、そろそろ引き返そうかな。
私の部屋は、テラスの手すりに掛けておいたバスタオルが目印だ。部屋の位置を確認すると、何だか安心のような気がして、水上ヴィラの周辺でもしばらくスノーケリングを楽しんだ。
結局、1時間近くも海にいたようで、ミリヒのハウスリーフは噂どおり本当に飽きさせないなぁ…と改めて感じた。

スノーケリング後、軽くシャワーを浴びた。テラスからはベッドルームを通らずバスルームに直接行ける、動線の良い造りが気に入っている。
ちなみに、ミリヒにはバスタブがない。湯船につかるのは好きだけれど、モルディブでは貴重な水を使うのがもったいない…という気持ちがあるので、今の私にはシャワーだけでも全く問題ない。
ベッドからでも海の近さを感じられる部屋は、とても居心地が良い。

正午を過ぎていたが、朝食をたっぷり食べたせいか、まだお腹はそれほど空いていない。かといって、ディナーまではまず持たないだろうから、ランチ(お腹が空く)まで読書をすることにした。
Bluetoothとスマホを繋げてお気に入りの曲をかけ、テラスのデッキチェアにもたれてみる。日本にいてもできるのに、あえてリゾートで読書をするという贅沢、いいよね。

部屋から流れてくるメロウな音楽と、ちゃぷんちゃぷんという静かな波の音をBGMに、読書に没頭。1時間近く経つと、空腹感が強くなってきた。
ぼちぼち、ランチに出かけますか。

写真映えするミリヒの中でも、特にお気に入りスポットの一つが、バー・Anbaだ。
ビーチの木陰、青色系統で統一されたクッションが海に向かって並んでいる光景を写真で見て、こんなところでのんびりできたら幸せだろうなぁと思っていたのだ。

昨日は早々にAnbaのビーチクッションでカクテルを楽しんだので、今日はアウトドアデッキ席にしよう。

ウェイターが「Hello~!」とやって来たので、メニューを拝見。どれどれ。
しばらく悩んで、アンガスビーフバーガーとビールをオーダー。本当は色々と種類を食べたいけれど、一皿の量が多そうなので、これで充分かな。

運ばれてきたビールのグラスを軽く持ち上げて、一人で乾杯。ごくごく。あぁ、冷たいビールが美味しい!
椅子に深く腰掛け、背もたれのクッションに身体を預けると、もう動く気がしなくなる。
しばし目を閉じて音だけに集中してみるが、微かな話し声が聞こえてくるぐらいで、本当に静かだ。少し風が吹くだけで、木の葉のさざめきも余裕で聞こえるだろう。

そして、お待ちかねのバーガーが運ばれてきた。「お、おおきい…」
予想以上のボリュームだったけれど、とても美味しかったので、ビールが進み、すぐにグラスは空になってしまった。

せっかくのバケーション、もう一杯飲んじゃおうかな。
…ということで、再びメニューと格闘し、モヒートをオーダーした。うん、やっぱり南の島にはモヒートが似合うよね。

モヒートを飲みながら、持参した文庫本を読み進める。
静けさをまとった穏やかな午後が、ゆっくりと過ぎてゆく。

つづく

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